最近、集客やブランディングの効果的な仕組みとして、オウンドメディアマーケティングに取り組む企業が増えています。
WEB MBAでは、魅力的なオウンドメディアをどんどんご紹介していければと思います。
今回は、世界的な自動車のトップブランド『Mercedes-Benz LIVE!』です。
高級車の分野で世界の頂点に立つメルセデスベンツのオウンドメディアのポイントを、解説していきます。
【目次】
1. ベンツのオウンドメディア『Mercedes-Benz LIVE!』
2. 『Mercedes-Benz LIVE!』のサイト構成分析
3. 魅力に感じたコンテンツ
3‐1. Drive>Travelにあるメルセデスベンツと旅の関係
3‐2. Drive>TEST DIVEでのユーザー視点のベンツの魅力
4.まとめ
1. ベンツのオウンドメディア『Mercedes-Benz LIVE!』
車メーカーの公式サイトは、車種のスペック紹介に終始することが多いのですが、この『Mercedes-Benz LIVE!』ではベンツという車がより身近に感じられるような「ベンツのある豊かな生活」情報を掲載することで、読者に「ベンツに乗ってみたい」という消費喚起を促す仕掛けになっています。
2. 『Mercedes-Benz LIVE!』のサイト構成分析
『Mercedes-Benz LIVE!』のサイトは、どのような構成になっているのでしょうか。そのサイト構成を、以下に記します。
◆HOME
◆NEWS
メルセデスベンツに関するニュースを、このコーナーで情報発信しています。ベンツクラスになるとニュースリリースで各メディアでも紹介されるとは思いますが、このオウンドメディアでまとめられることで、ファン形成に一役買っていると思われます。
・「サー・スターリング・モスに捧げる。メルセデス・ベンツと歩んだ“偉大な奇跡”」
・「豊橋新車整備センター/デリバリーコーナー 特別プログラムのご案内」
・「鈴鹿10時間耐久レースで、Mercedes-AMG Team GruppeM Racingが表彰台に!」
・「Mercedes me GINZA the Limited store、東京・銀座にオープン!」
◆DRIVE
コアコンテンツ「DRIVE」では、「TRAVEL」「INTERVIEW」「TEST DRIVE」「EVENT」で構成されています。
<Travel>
・遊び倒してこそ意味があるメルセデス「Vクラス」。その真価で、休日を快適化
<Interview>
・「愛車は相棒。スタイリスト人生を共に歩んだEクラス」
<Test Drive>
・「~CASE_02 クリエーター編・佐々木玲さん~EQCと過ごす快適スマートライフ」
・「~CASE_01 ママ編・ラブリさん~EQCと過ごす快適スマートライフ」
<Interview>
・「愛車は相棒。スタイリスト人生を共に歩んだEクラス」
<Event>
・サーキットでAMGの真価を体感する「AMG DRIVING ACADEMY」参加レポート
◆HOBBY
「HOBBY」は、「FOOD」と「FASHION」、「INTERIOR」で構成されています。
<FOOD>
・甘さ控えめでも幸せたっぷりの「チーズクリームクレープ」
<FASHION>
・大人の男におすすめする、夏のドライビング・スニーカー
<INTERIOR>
・車内で使いたい、夏のフレグランス
◆SPORTS
<MOTOR SPORTS>
・【SUPER GT 2020速報】第8戦 富士スピードウェイ
<GOLF>
・メルセデス・ベンツとゴルフ
<TRIATHLON&BIKE>
・メルセデス・ベンツがサポートするトライアスロン&バイク活動
◆PRODUCTS
<HISTORY>
・メルセデス・ベンツ その130年の哲学
<CLASSICS>
・Young Classic Series
<COLLECTION>
・写真家・鈴木親、新型GLAとワンナイトドライブ
<TECHNOLOGY>
・F1マシンを先導して25年-メルセデス・ベンツのセーフティーカー
◆SPECIAL
・WONK・長塚健斗さんが語る「クルマと私とメルセデス」
・ミュージシャン・田島貴男さんが語る「クルマと私とメルセデス」
◆RADIO
<On Air>
・メルセデスのラジオ番組「Mercedes-Benz THE EXPERIENCE」
<Interview>
・「道」はドラマが生まれる場所―ヒグチアイが語る「空想型ドライブ」
・クルマ空間は偶然の出会いがある場所―FPM田中知之が語る「空想型ドライブ」
<PLAYLIST>
・11/29 OA プレイリスト
◆ABOUT
<CONCEPT>
・「Mercedes-Benz LIVE!」は、メルセデス・ベンツとともに走る人生の豊かさと楽しさを発信するメディアです
<SITE POLICY>
・著作権について
<SITE POLICY>
・運営会社/メルセデス・ベンツ日本株式会社
3. 魅力に感じたコンテンツ
オウンドメディアは、企業が広報的視点で伝えたいこととユーザーが消費者として知りたいことの交差点です。広報的視点が強すぎると宣伝っぽくなってユーザーに嫌われてしまい、お役立ち情報だけでもメディアが味気なくなってしまいます。
上質な情報提供の中に、いかに商品購入動機につながる導線を入れ、かつブランドイメージの向上につなげていくか。
それを実現するためには、高度なメディア戦略とクオリティの高いコピーライティングやデザイン、写真、動画といったクリエイティブが必要不可欠です。
今回の「Mercedes-Benz LIVE!」は、それらを見事に体現したオウンドメディアの好事例といえると思います。
3-1. Drive>Travelにあるメルセデスベンツと旅の関係
旅とクルマは、切っても切れない関係性があります。クルマの存在を、移動手段という枠を超え、非日常を楽しませてくれる存在という位置づけが楽しくワクワクさせてくれます。
またそこにゲストのストーリー性が加味されることで、ユーザーの感情移入効果があります。
3-2. Drive>TEST DIVEでのユーザー視点のベンツの魅力
このオウンドメディアの真骨頂のコンテンツの一つが、この「TEST DRIVE」でしょう。ベンツの公式サイトやモータージャーナリストの広報的なスペック紹介ではなく、ベンツファン一人一人の購入動機、そしてベンツを運転する快適さについての感想が表現されています。
例えば、「〜CASE_02 クリエーター編・佐々木玲さん~EQCと過ごす快適スマートライフ」では以下のようなコメントが掲載されています。
「僕がカフェや飲食店をデザインする上で大切にしているのは、『機能性と意匠性、そして感性』の3つの観点です。“デザイナー”と聞くとただオシャレなものを作っているという印象が強いかもしれませんが、実は細部にこそこだわっていて。目に見えない使いやすさや心地よさ、同時に遊び心という部分も大切にしています。このクルマには、気品と先進さを感じる特徴的な外観のデザインはもちろん、機能美とでもいうべき計算され尽くした細部のデザインに魅力を感じました」
カフェデザイナーというクルマとは関係のない職業のゲストによるデザインという視点での共通性を、見事に浮き上がらせています。他の分野で活躍するプロフェッショナルの個別の視点を通して、ベンツの魅力の訴求に成功しています。
4. まとめ
オウンドメディアは、広報とジャーナリズムをバランスが大事です。中立な視点での客観的分析及び役立つ知識を提供しながら、いかにブランドのファンになってもらうか。
そこには当然、競合企業の分析及び差別化ポイントの抽出、トーン&マナー等のクリエイティブルールなど、全体設計がベースになります。
デジタルマーケティングは全てのパフォーマンスのデータが取れるので、市場の動向、潜在ユーザーの反応など、まるで潜水艦を探し出す駆逐艦のソーナーのような機能もオウンドメディアの重要な役割だと思います。